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  • 2025.10.22

    株式会社マツ勘社屋リノベーションが2025ふくい建築賞奨励賞を受賞しました

  • 2025.10.09

    「注目の若手建築家による建築討論」JIA建築家大会2025千葉に登壇いたします。

260916_和菓子屋PJ_地域のテロワールを編み上げることはできるのか

2026.09.16
260916_和菓子屋PJ_地域のテロワールを編み上げることはできるのか
260916_和菓子屋PJ_地域のテロワールを編み上げることはできるのか

水をテーマにした和菓子屋したいというのが要望であった。試行錯誤している。

生まれ故郷の小さな町おばま。そこに創業200周年をまもなく迎えるお店の依頼。

店内には水が湧いていて、そこで冷やした葛まんじゅうが全国に知られている。

現代の名工にも選ばれた和菓子職人。その店主による和菓子。どれも美味しくて、何故にこんなにあんこがおいしいのか、と聞くと、それは水がいいからだという。雑味が無くて小豆そのものの甘味がやさしい。

人の舌、身体、知覚って、繊細で無意識にいろんな情報をキャッチしているんだなあと思ったのだけれども、

さて、水をテーマした店をどうつるか。壁から水を流したり、噴水を設けたらいいのかというと、それは違うし、どうしようかなーと思った。まずはいつも通り、たくさん話を聞くこととした。

美術館のようにきれいな店舗ではなく、素朴で心地よく、今までのお客さんを大事にするお店にしましょう。遠くからくるお客様には品よく丁寧におもてなししましょう。今ちょっと使いくいところ、メンテナンスしにくいところは丁寧に改善しましょう。たくさんの話をした。あくまでも和菓子、生菓子は地域の人が日常のハレとケ、いろんな日常と共にあるのがいい。そしてやっぱり、水の話が面白かった。

雲城水と言われる店で使う湧き水は、遠く離れた地域の標高350-900mくらいの山脈から100年ほど経て、湧いてくるらしい。100年たって湧いた水を僕らは口に含み、味わい、それが菓子として結実している。それそのものを表現できないか?とも思いついた。

他の菓子はもちろん、作り手とは違う、地域の土台があってできるところがこの店の魅力なのではないか。それは、ワインで言うならば、テロワールというべき、地域の風土が立ち上がってくるような菓子と言えるのではないか。

建築には湿式工法と乾式工法という仕上げの工法があって、説明は割愛するけれども、湿式工法というのは水が不可欠なものだ。モルタルやタイル張りなど、いろいろな工法がそれに値するが、中でも左官と言われる、土を練り壁に塗り付ける工法は、特に水が不可欠であり、その配合、練り、素材、そして職人の手癖とセンスが問われる難しく、そして、現代では数少なくなってしまった工法でもある。それはここの和菓子を表現するにはふさわしい仕上げではないか。湧き水も練り込むことができる。

伝統と革新に試行錯誤する現代の名工には、それにふさわしい左官職人に依頼したい、対峙させたい。いわゆる請負ではなく、ともに考え試行錯誤し、地域そのものを表現してくれる作り手がふさわしいと、左官職人の挾土隼平さんに声をかけた。若く、全国で活躍する左官職人だ。SNSを通していくつもの仕事をみると、土を使った美しく女性らしいともいえるような表現が気に入った。たおやか、はんなりともいえる、小浜のまちにもふさわしいと思えた。

挾土さんには、何度もサンプルを依頼して調整ををお願いしている。当然、単なる職人の域を超えて、美意識をもって仕事をしてくれる。左官には水が不可欠で、それを含むことはもちろん、それが沁み込み、乾燥し、気化して抜ける、その現象、水のふるまいともいえるものをカタチにすることですよ、と教えてくれる。いつか土を使いたいと思っていたので、すべてが新しい発見もあり楽しい。

店舗のメインとなる壁には、名水はもちろん、源流となる地域の山の土や枝や根を練り込み、荒い壁で仕上げる予定をしている。

店を訪れたとき、水の痕跡とともに、山や森のざわめきが聞こえてくる、そんな空間ができると嬉しい。

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